[コラム]振り返ったならば

 

先日、母校の大学で講義をする機会に恵まれました。

スタートアップしてからは特にご縁だけで歩んでいる少々特殊なわたしの人生に、このタイミングだったことは感慨深いものを感じずにはいられません。

社会人になってからの20年を振り返り、見つめ直し、足りないところを見極めて、後ろを振り返りました。

自分に誓っているミッション・ステートメントは今日も揺らいでいませんでした。振り返れない忙しさにありながら、そこへ向かわせてくれたことに感謝の気持ちが溢れています。こんなセレンディピティもあるものだと。

わたしの歩んだ道が正しかったかどうかはまだ分かりませんが、少しだけ先を進んでいることで見えた景色を伝えたい、その一つだけでした。

就職し、

留学し、

結婚して名前が変わり、

出産と社会復帰ののちに

手術を経て、

スタートアップしましたが

辛く悲しいひとときも含めて実はずっと幸せだったことが見えたのが今、一番の喜びです。そして、それは社会人となって20年目を迎えようとする節目の光になりつつあります。

わたしが伝えたかったことを、しっかりと受け取ってくれた後輩たち。世界が激動する変化の真っ只中に学生生活を送り、懸命に学ぼうとしている姿に胸がいっぱいになりました。今にこそ、学んでいる意義は20年後には必ず見つかっているはずです。

夫婦別性やジェンダーギャップについて、日本とヨーロッパの女性の強さについて、ピルについて「社会とジェンダー」の中にあるそれぞれの仮説をヒントにして見つかった「ことば」と「勇気」の種を大切に育てて欲しいです。

講義後に受け取ったメッセージの全てはこれからもずっとわたしの宝物です。

正しいかどうか分からなかった道が、ほんの少し正しかったかもしれないと思わせてくれた、20年前のわたしと重なる女性たちの一歩を心から応援しています。

あれから、もう20年が過ぎるのかと驚きながら一年を締めくくろうとしています。

 

文・撮影/Chikayo Kono Modrušan

@croacica