ストローハットと小さな旅

 

まだ早いかなと思いながら、春の太陽が眩しくてストローハットでひとり出かけた場所がありました。

それは、社会人学生として学んで一年が過ぎ、どうやって時間を捻出したのかも思い出せないくらいの毎日と、自分への約束をなんとか果たすことのできた「卒業旅行」のようでした。

群馬県太田市の太田美術館・図書館。「創造的太田人(そうぞうてきおおたびと)」を基本理念にする美術館であり図書館、図書館であり美術館です。

この、どちらにもどちらからもアプローチ可能なミックスの心地よさに、全身で感じられる喜びに溢れお気に入りの場所や椅子をいくつも移動して一日中滞在していました。

そして、ガラスを超えて注ぐ太陽の光の柔らかさ、読書も美術鑑賞もわたしには贅沢なご褒美でした。目に見えないものを見ようとした新しい時間がもたらしてくれたもの──

わたしの「自分への約束」は、仕事への覚悟であり人生の責任です。スタートアップをしてからの一年が再び重なる日は、新年より、誕生日よりも大切な節目になりました。会社員時代を振り返ると、社会貢献をしたいと思いながらも、こんなに覚悟があったか分かりません。

創造的であることに自由があることを目の当たりにした太田市美術館・図書館で、久しぶりに「ミッション・ステートメント」を開きました。その素直なままに打ち込まれた文字は、今もこのままでいいと思える自信の「ことば」として新しい自信を背負って帰路につきました。

 

 

仕事に一生懸命なだけでなく、社会に貢献することの手応えを自ら得られていることは幸せです。あのまま会社員だったならば、が想像できないくらいの景色を今、見ています。

母親であることも忘れがちな仕事とレポートの毎日ですが、答えのない時代を生きる術やまなざしを自分なりに探しているところです。そして、これらの行動が必ず新しい仕事へとつながることが何となく分かってきた通過点にいるところです。

都会から少し離れた景色も空も電車の揺れも気持ちよかった春の一日がまた来るように。

普段は手を伸ばさない本を読んでみたり、感動してこっそり涙した本との出会い、心地いいソファーや椅子の数々、明日へのモチベーションを獲得した「小さな旅」でした。

 

太田市美術館・図書館/https://www.artmuseumlibraryota.jp

文・撮影/Chikayo Kono Modrušan

@croacica