はじめて考えるときのように

野矢 茂樹・文/植田 真・絵(PHP文庫)

凝り固まって動けない時、歩みの道を躓きそうになったときに助けてくれるのは活字です。

それが分かった一冊です。私にとって本は選ぶものでもあり、本からやってきてくれることもあります。この本は確かに向こうからやってきてくれました。きっと道案内ですね。

ブラウンの活字が新鮮で、そんな新しい風さえも外れてしまいそうな私の背中に手を添えてくれました。示してくれた「考えるという技術(問題そのものを問う・論理を有効に使う・ことばを鍛える・頭の外へ・話し合う)」の5つは大好きなものが揃っています。そう、私はこれでいいんです。

つめこんで、ゆさぶって、空っぽにする

もしも道から外れそうになって、停滞してもまた戻ればいい。その戻る時は“私”が一番知っているのだから。またはじめればいいと思うのです。全ては「ヘウレーカ」のために、であることを気付かせてくれました。”もしかしての世界”をもっと満喫したいのです。

いま、はじめて考えるときが必要なとき。哲学道案内でありながら、ブラウンの美しさに包まれる文庫絵本です。