雨を、読む。

 

佐々木まなび(芸術新聞社)

京都宮川町にある文具店で思いがけず出会った本でした。ここで買う少し細めの一筆箋が好きで、芸妓さんになった気分で細い通りを歩きます。

雨と相性がいいことは分かっていました。体調が悪くなるはずなのにとても歓迎しています。雨だけでこんなにも表現される世界があるのかと思い知らされ、便利なことばだけに頼る現代の表現について考えさせられました。そして、仕事の表現がまだまだ足りていないことをも感じます。目に見えるものだけでなく、見えないものや、雨や空気や風さえも表現できるようになりたいと願っています。

五感の雨より、

―佳雨 かう

よき雨。ほどよいときに降る雨。「佳」には、優れて良い、めでたい。美しいなどの意味が含まれている。

雨の日に出会ったものはいつも必ず、大切なものになっています。たとえ晴れていたとしても雨を感じさせてくれるとても美しい本。今日も佳き日でありますように。

裏具 http://uragu.goodmaninc.co.jp