風景学入門

 

中村良夫(中公新書)

――風景とは、仕事とは

1982年春に出版された本と2021年夏に出会いました。心に残る風景をどう表現するか迷っていた私はその初版を図書館で偶然手にしました。そこには「風景学入門」というタイトルからは想像がつかない設えの美しさがありました。フォントのかすれ、圧の強弱、ページ数のにじみやブレさえもこれまでの本との出会いとは明らかに違います。

今、わたしの手にする第20版にも同じ息遣いがありまるでタイムカプセルのようです。

スタートアップして以来、わたしは常に活版名刺を使っています。どうして活版印刷が好きなのか、この小さい一枚から訴えたい想いは何なのか、ただ風合いだけでないものの価値に気づかせてくれました。

今見えている風景は、関わる人が違うだけで全く新しい景色をもたらせてくれます。目で見る風景、心で感じる風景、社会を変えていく風景、会社員では見えなかった風景の中に今存在し、そのどれもがわたしの仕事になり得ることを知ることができた一冊です。