[コラム]自然とアートのアプローチ、セレンディピティ

 

「国境の長いトンネルを抜けると、そこは雪国だった。」 川端康成の小説の「雪国」の世界観が目の前に広がるようで思わず立ちすくんでしまいます。

 

滋賀県信楽にあるMIHO MUSEUM―

何も知らず、偶然に引き寄せられて行き着いた美術館でした。

ナショナル・ギャラリー東館やルーブル美術館のピラミッドの建築家、I.M.Pei(イオ・ミン・ペイ)氏設計と知り頷きました。

そこへ到達することではなく、そこまでのアプローチを堪能することを十分に感じてからアートに触れることを促してくれる。そんな魅力があるような気がしました。

そして、自然とアートの調和がこんなにも美しいものだということを感じさせてくれる、美術館のひとつです。

アプローチロードと言われるトンネルを抜けるとガラスの茅葺き屋根が迎えてくれます。きっといろんな季節の山の色に馴染んでいるんだろうな、と。想像が膨らみます。

わたしはここで長次郎の「黒楽茶碗」に出会いました。一度この目で見てみたい、いつか必ずと願っていたらふとした時に叶ったセレンディピティの衝撃を受けた忘れられない場所です。

 

“セレンディピティ“

今日、ここまでのあゆみが間違っていなかったと肯定してもらった気持ちです。わたしだけの正解を見つけた瞬間でもあります。

スタートアップではセレンディピティを感じることでひとつひとつを小さな自信とヒントにしてきました。

逆に言えば、これがあったからこそ辛くてもやめないように気持ちが維持できたと思っています。

心の時代であると言われる今、わたしは自然の姿に何を思えるか、スタートアップのヒントにできるかを感じられる瞬間を大切にしたいです。

 

 

自然そのものはアートで

アートは自然そのものだと

美しい自然をそのままに

どれだけ見て感じることができるのか

建築時には“新しい道路はできるだけ短く、余分な線を一本も作らない”努力がされたそうです。繊細すぎるほど細部にまで配慮がされている場所、作り手の思いを感じるために何度も訪れたい美しい場所です。

 

MIHO MUSEUM

http://www.miho.or.jp

文・撮影/Chikayo Kono Modrušan

@croacica